DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「アレックスが気になるか?」
ガーフィールドはニヤリとしてリリスに尋ねると、リリスの顔はますます赤くなった。
「え……? えっと……素敵な人だね。黒髪って珍しいし……」
「まあ、珍しいといえば珍しいがな」
エルカイザは周辺の小国を吸収して大きくなった国である。
様々な人種が集まっているとはいえ、国民は白い肌に髪は金髪、もしくは薄い茶色……色素の薄い者が多い。
時折黒髪の者も見かけるが、大抵は瞳も黒い。
漆黒の髪で瞳が青い者は稀である。
(だから似ているように思うのかね)
古き知人が頭に浮ぶ。
だが、それも一瞬で
「顔も綺麗だったし……」
頬を染め、うっとりとドアを見つめる孫娘の声にあっという間に思考を戻され、ガーフィールドはゴホンとひとつ、大きく咳払いをするとリリスの方を向いて頭を横に振り
「やめとけ……お前の手におえるような男じゃないぞアレは」
あわててリリスをたしなめた。