DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
もちろん相手をする隊員達もプライドがある。
それぞれ各々の力に自信を持つ者たちの集まり。
新入りなんかにあっさり負けるわけにはいかない。当然本気でかかってくる。
実力と経験。
己の武器をフルに活用して、挑んでくる新入りを叩きのめそうとしてくるのだ。
候補者達がそう簡単には勝てるはずも無い。
だが……
今日は様子が違っていた。
この日ここに現れた黒髪の青年は、ここにいる誰よりも若く。
まだ兵役に一年しか就いた事も無く、経験も何も持たず。
誰よりも細いその体躯はまだ少年から抜け出したばかりの未熟さすらもうかがわせるのに……
もうすでに四人。
現役のケルベロスの隊員を、小さなナイフ一本で降参へ追い込んでいた。