DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「ナイフのままでいいの? 言っとくけど俺の槍はそこらの槍使いとは一味違うよ?」
目の前で槍を斜に構えた男の声に、アレックスは目線だけ上げる。
今まで四人、同じく腕に自信があるはずの仲間がやすやすと降参に追いやられたのを見ていたはずなのに、その声には余裕がある。
目の前で楽しそうな笑みを浮かべる男は、今までの相手よりも幾分若い。
きっと隊長と変わらないくらい……
自分より少しばかり年上。
「いえ、大丈夫です」
短く応えると、明るいオレンジの前髪の下の目が細められた。
「ふ~ん」
少し嬉しそうにも見える表情を浮かべた男は、なるほど、自信があるのだろう。
楽に構えた槍。だがそこにはやすやすとは踏み込ませない空気がある。