DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―1―)
「あっけないものね……」
光をなくした廃墟のような建物を背に、目の前に転がるいくつもの屍を見下ろし少女はつぶやいた。
美しいプラチナブロンドの髪を風になびかせ目の前の光景を見つめる横顔は、陶器でつくられた人形のように透き通った輝きを持ち、天使のようにすら見える。
白いラインで縁取りされた紺色のコートの袖口から伸びる、白銀の刃物さえなければ……
まだ十五、六にしか見えない、細く、華奢な少女にはおよそ似つかわしくない、長く、鋭利な剣先は真っ赤に血塗られ、月明かりを受けてぬらりとした鈍い輝きを放っている。
短い雑草が所々生えるだけの、荒れた地面に転がる屍は、皆一様に、身に纏った草色の軍服を赤黒く染め、銃や剣を握り締めたまま息絶えていた。
「終わったか? ミカエル」
背後から聞こえる声に少女は振り返り、廃墟の入り口から自分に向けられる赤い双眼を認めると、かすかに唇の両端を上げた。
「あっけないものね……」
光をなくした廃墟のような建物を背に、目の前に転がるいくつもの屍を見下ろし少女はつぶやいた。
美しいプラチナブロンドの髪を風になびかせ目の前の光景を見つめる横顔は、陶器でつくられた人形のように透き通った輝きを持ち、天使のようにすら見える。
白いラインで縁取りされた紺色のコートの袖口から伸びる、白銀の刃物さえなければ……
まだ十五、六にしか見えない、細く、華奢な少女にはおよそ似つかわしくない、長く、鋭利な剣先は真っ赤に血塗られ、月明かりを受けてぬらりとした鈍い輝きを放っている。
短い雑草が所々生えるだけの、荒れた地面に転がる屍は、皆一様に、身に纏った草色の軍服を赤黒く染め、銃や剣を握り締めたまま息絶えていた。
「終わったか? ミカエル」
背後から聞こえる声に少女は振り返り、廃墟の入り口から自分に向けられる赤い双眼を認めると、かすかに唇の両端を上げた。