DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>






(何故、だ――?)

マリウスの行動の意味がわからない。

崩れる寸前になるまで燃えている建物の中に生存者などいるはずもないのだ。

助けることなど出来ない。

あんな中飛び込めば、自らも助からないであろうことは誰から見ても分かるはずだ。

(何故、こんな馬鹿なまねを――?)

マリウスは当然もう戻っては来れない。

なんの希望も見出せない炎の中へ、自らの命をなげうってまで飛び込む理由など何もないはず……

あたりに立ち込める焼け焦げる匂いが鼻をついた。

何度か嗅いだことがある。






人が、焼ける匂い――





アレックスは動くことも出来ず、その場に立ち尽くした。

空気がべとつき、肌にまとわりつく。

背中を伝う嫌な汗と、より勢いを増す炎の熱にハッとして、アレックスは瞼を二、三度瞬かせた。

いつまでもこうしていても仕方ない。

そう判断し、すぐにその場に背を向け歩きだす。

背中越しに、建物が焼け崩れる音が……

やけに大きく耳に反響した。


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