DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―4―)


あちこちから聞こえる、建物が焼け崩れる音の中に人の気配がないか、神経を研ぎ澄ませながら町の中心部を進む。

マリウスが姿を消した場所から随分と離れたところまで歩いたにもかかわらず。

その間。

人の声ひとつ、動物の鳴き声すらアレックスの耳に入ることはなかった……




もう逃げ出した後か

もしくは、息絶えたか

命の気配はどこにもない




しばらく進むと、やがて家々の間隔が徐々に広くなり、町の中心から抜け出したことが分かった。

畑らしきものもぽつぽつと見える。

だが、ここも町中と変わらず、まばらに建つ民家は皆、黒く焼け落ち、辺りには異臭と煙が充満していた。

火の勢いがだいぶおさまっているところを見ると、中心部より先に攻撃を受けたらしい。


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