DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

「……そうだな」

戻された写真へ視線を落とし、アレックスも頷く。

ガーフィールドから手に入れた。最近のものだというルシフェルの写真。

初めて見た時、アレックスもそう感じた。背負う業ゆえか状況ゆえか、……どこか寂しげに見える写真の中の少女。

「ねえ。アレックスさんはルシフェル様と知り合いなの?」

「ああ……いや。どうかな。俺は多分彼女を知っているけど、彼女の方は……」

写真をしまいながら、ジノに答えるも、曖昧な答えになってしまった。

実際。ルシフェルが本当にルーシーだったとしても、ルーシーの記憶にアレックスがあるかどうかと考えれば無いと思うほうが正解だろう。

アレックスが知るルーシーは、常に正気とは言いがたい状態だったのだから――



口ごもったアレックスを気遣ってか

「あ。アレックスさんは寝相はいいほう?」

ジノはすぐに話題を変え、そんなことを聞いてきた。

「寝相?」

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