DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「すみません……少し取り乱しました」
素直に謝罪の言葉を述べるアレックスにボルグは一瞬目を丸くする。
「いや……落ち着いたならいいが……まあ、色々あったしな」
そんな態度をアレックスがとるとは、想像もつかなかった。
それは、ボルグに拳を振るわせたアレックスの乱心ともとれる行動についても同じくいえることだったが……
下げた頭を上げたアレックスと、まだ困惑気味のボルグの目線が合う。
アレックスの視界に映るボルグの瞳の奥。
今までアレックスに向けられていた険しさがほんの少し、その鋭さを和らげた。
(何かが揺らいだか?)
これまでの経緯を思い、そんな考えが一瞬ボルグの脳裏をかすめる。
だが、ボルグはそれ以上深く追求することなく、ただ頷き。
地面に落ちたロザリオを拾うと、少女の手に握らせてやり
「なんにせよ、新たに一人保護できたんだ、早いとこ手当てをしてやらんとな」
そう言って、一緒に戻るようアレックスを促し、トラックへと踵を返した。
アレックスも少女を抱え上げ、その後に従い……
そして、ようやく部隊はリエーネの町を出た。