DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―6―)




翌日、アレックスは王立孤児院へ足を運んだ……昨夜保護した少女がここに収容されたと聞いたからだ。

「お待たせしました」

来客室で待っていたアレックスの元へ地味なスーツ姿の女性が一通の封書を持ってきて、目の前のテーブルの上へ置く。

「どうも」

短く礼を述べるアレックスに女性事務員は一礼すると、すぐに背を向け部屋から出て行った。

ドアが閉められる音を聞いた後、テーブルの上に置かれた封書に手を伸ばし、中身を取り出し、折りたたまれた数枚の文書を開く。

昨夜見たときとは別人のような、穏やかな表情の少女の写真の横に





『ルーシー・マクドナルド』




と記されている。




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