DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
アレックスが、特権を持っているにもかかわらず、ルーシー・マクドナルドの消息を軍の情報機関を利用して調べず、ガーフィールドに調べさせたのには理由がある。
公の記録上、ルーシー・マクドナルドは死んだことになっているからだ――
「レンフィールド、ちょっといいか」
リエーネの空襲から二ヶ月ほどたったある夜、自室でもう寝ようかとしていたアレックスのところへ、突然、ボルグが訪れた。
「どうしたんです? こんな時間に」
訪れたボルグを部屋へ通し、テーブルを挟んで腰掛ける。
あの悪夢のような町で任務を共にして以来、ボルグは何故かアレックスに時折声をかけるようになった。
あの時の混乱したアレックスを見て以来、何かと気に掛けてくれているようだ。
粗野で傲慢なイメージが強かったが、意外と仲間への面倒見はいいタイプらしい……
同じく椅子に腰を降ろしたボルグの表情は、どこか曇っているように見えた。