DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
だが、それはアレックスが望んでそうなったわけではない。
わかってしまった……
本当に知らなかっただけなのだ。
与えられたことがないものを彼が知らなかったことを、誰が責められる?
(憐れな……)
自分が長年戦場で実績を積んでようやく手に入れたケルベロスへの切符を、わずか兵役を一年こなしただけで手に入れたアレックスを、正直あまり心良く思っていなかった。
羨望と嫉妬。
そんな感情すら抱いていた。
だが、いまやそんな感情はうち消された。
生まれながらにして戦うことしか知らないアレックスがその能力を認められるのは当然だ。
だが、アレックスはその能力を身に付けるのと引き換えに、人として大切なものに置き去りにされた……
そして、それゆえに今苦しんでいる。