D U S H ! !




「はあ、ライブってやっぱ暑いね~グレー着てくんじゃなかったよ」

ハラくんが言った。

折れたスティックを楽屋のテーブルに置いて、びしょびしょに濡れたTシャツを脱ぐ。


俺も洗面台に行き冷たい水で頭を濡らした。
Tシャツも着替えて、また楽屋に戻ると、携帯が光っていた。

ユカからの着信だった。



今朝、ユカからメールが来ていた。

その内容は、『当日チケットまだ買えるみたいだから、DUSHの一番のファンとして見に行く!!』

絵文字なし、改行なし。

なぜそれ程急いでいたのかはわからないけど。


だからあの瞬間、ユカも居たんだと思うと、もちょっと格好付けておくべきだったかなとも思った。今更だけどさ。


メールボックスを開くと、『ライブ見たよ』という題。


『今日は鮎川くんがかっこよかった。ギターテク一昨日より滑らかになってたよ。ヤマトくんもお疲れ!!』


それはさ、俺にじゃなくて鮎川に言えよ。
はあ、とため息をついたら。

その下に、『あと、』という文字。

スクロールをして見てみると、『帰り皆と一緒に帰っていい?一人で来たから夜中は怖くて…』。そんな文章。


確かに、この辺りは坊主で真っ黒サングラスなイカツイ人がいっぱい居る。

見た目でいうのは申し訳ないが、黒人さんが、何人かでゲラゲラ笑いながら束になって地面に座っているのが、俺でも怖かった。


ユカを守るのは俺。


「なにへらへらしてんだ、あいつ」


ふふふ、笑みが止まらない。






< 202 / 346 >

この作品をシェア

pagetop