D U S H ! !
「はあ、ライブってやっぱ暑いね~グレー着てくんじゃなかったよ」
ハラくんが言った。
折れたスティックを楽屋のテーブルに置いて、びしょびしょに濡れたTシャツを脱ぐ。
俺も洗面台に行き冷たい水で頭を濡らした。
Tシャツも着替えて、また楽屋に戻ると、携帯が光っていた。
ユカからの着信だった。
今朝、ユカからメールが来ていた。
その内容は、『当日チケットまだ買えるみたいだから、DUSHの一番のファンとして見に行く!!』
絵文字なし、改行なし。
なぜそれ程急いでいたのかはわからないけど。
だからあの瞬間、ユカも居たんだと思うと、もちょっと格好付けておくべきだったかなとも思った。今更だけどさ。
メールボックスを開くと、『ライブ見たよ』という題。
『今日は鮎川くんがかっこよかった。ギターテク一昨日より滑らかになってたよ。ヤマトくんもお疲れ!!』
それはさ、俺にじゃなくて鮎川に言えよ。
はあ、とため息をついたら。
その下に、『あと、』という文字。
スクロールをして見てみると、『帰り皆と一緒に帰っていい?一人で来たから夜中は怖くて…』。そんな文章。
確かに、この辺りは坊主で真っ黒サングラスなイカツイ人がいっぱい居る。
見た目でいうのは申し訳ないが、黒人さんが、何人かでゲラゲラ笑いながら束になって地面に座っているのが、俺でも怖かった。
ユカを守るのは俺。
「なにへらへらしてんだ、あいつ」
ふふふ、笑みが止まらない。