D U S H ! !



「今日はありがとな。イチからジュウまで何もかもやってもらって」

「ううん。今度からは自分たちで出来るでしょ。編集はあんまりしない方がいいと思うけど」



高校受験の時に使った証明写真の残りを貼った申込用紙に、デモテープを封筒に入れて、俺達は夜8時、ポストに投函した。


「受かったらいいのにな。野外なんてやったことないから、楽しみ」

「それまで頑張らないとね」


鮎川達3人は、ワザとらしく先に帰ってしまった。

なので、バイト終わりのユカと2人きり。


「……。」

「……。」


話が他に思い浮かばない。

自然と、黙り込んでしまう。



隣を見たら、顔を赤くして白い息を吐くユカが居た。


どっちかというと俺のタイプとは程遠い彼女。

髪の毛はボブぐらいの長さだし、全然ゆるいウェーブじゃない。むしろ激しい。

目は大きいけど、下まつげは異常に長いし、服装も、白くない。

ワンピース着たところなんて、一度も見たことがない。


だけど、笑うと確実にかわいい。


相談には乗ってくれるし、俺の書いた歌詞で、泣いてくれた。

その涙が、効いた。

明るくて、彼女を見た瞬間、どぎまぎしてしまう。

いつもの自分じゃいられなくなる。

いつからなんだろう。



「…こっち見過ぎ」

顔を赤くした彼女が言った。

あれ、元から顔は赤かったんだったっけ。

「はは、ごめん。見とれちゃって」

とは言えないから、代わりに

「明日のライブ絶対行くから。ユカのベース、聴いておく」


そう言った。



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