桜花散恋



「・・・気にすんなよ?」


原田さんがうつむいていた私の顔を覗き込んできた。

「あ・・・」


「あいつはまだガキだから、なかなか素直になれないだけだから」

「そうそう!俺から言わせりゃーあいつはまだまだ5歳の甘ちゃんよ!そもそも――・・・」


藤堂さんについて「まだ青い」とか「俺に勝なんて百年早い!」だとか言っている永倉さん。
原田さんはそんな彼を横目で見て苦笑しながら私の頭に手をおいた。




「本当に認めてねぇんだったら、あいつはすぐにでも屯所から追い出すはずだ。長い付き合いの俺が言うんだ、な?」


「・・・」


(聞いてたんだ、あの会話・・・)


原田さんの手がポンポンと私の頭を撫でた。



「葉月は何も悪くねぇんだから、堂々としてろよ。もし平助が何がしてきたら俺たちに言えよ?」


「・・・はい」


少しだけ笑ってうなずくと、原田さんも優しく笑ってくれた。






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