王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜

両親は俺の中学入学と同時に死んだ。


いや、殺されたと言った方が近いかもしれない。


センターラインをはみ出してきた飲酒運転の車と正面衝突して、二人ともほぼ即死だった。


それなのに、加害者はたいした怪我もなく済んだらしい。


両親を失ってから、俺の生活は一変した。


いつも母親に頼り切ってばかりだった家事を、自分でしなければいけなくなったからだ。


でも、幸いに親戚には世話好きな人が多くて。


週に一度は誰かしらがうちにやってきて、「だらしないわねぇ」と言いながらも身の回りのことを手伝ってくれる。


そのおかげで、今まで金銭面でも生活面でもほとんど苦労したことがない。




「……冷めないうちに食べようか?いただきます!」


「あぁ」


4人掛けのテーブルに座り、作りたての料理の前でパチンと手を合わせる未来。


「……苦い」


さっき未来が焦がしたスクランブルエッグを口に運んだ瞬間、俺は思わず顔を歪めた。


「……隼人、無理して食べないでもいいよ?」


心配そうに俺の顔を覗き込んだ未来に首を振って答える。


昨日の不味いココアを飲んでくれた礼だ。



「別に無理してない」


俺は山盛りのスクランブルエッグを口いっぱいに押し込み、水で流しこんだ。
< 182 / 448 >

この作品をシェア

pagetop