Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―





――――コンコン



2人っきりだった空間の終わりを告げるように鳴った、ノック。



「はい」


来客は分かってる。



兄貴は朝来てくれたし、本城さんはここにいる。



看護師がここに来る用事も無い。



……今日は来れないはずだったのに。



だから、兄貴に会社に行ってもらったのに。




時間ができて来れるようになったのか。





「あら、本城さんもいらっしゃってたのね?」



ドアから入ってきた人物――レイコさんの第一声は、俺よりも先に本城さんに向けられたものだった。




「どうも……」



明らかにトーンが下がった本城さんを見て、会わせたく無かったな、と後悔。




俺が呼んだわけじゃないからどうする事も出来なかったんだけど。



この前も本城さんがレイコさんに会ってから様子が少しおかしかった。


と言うか泣いていた。




理由を聞くことはできなかったけど、本城さん、レイコさんのこと苦手なんじゃないだろうか。




「渡した仕事、進んでる?」



レイコさんの方は本城さんのことを特に気にしていないみたいで、俺に仕事の話題を聞いてきた。




「順調ですよ。こっちは出来たのでデータ渡しておきますね」






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