Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
半同棲状態で、お互いの家を行き来していた私達。
冬になると、涙は涙のお祖母さんから届く大量の蜜柑を私に持ってきてくれていた。
『食べ過ぎ!一体何個食べたら気が済むの?』
机にある沢山の蜜柑の皮を集めてゴミ箱に捨てる。
涙はミカン男!って位沢山の蜜柑を食べる。
今さっき食べたばっかりなのに、気付いたらまた食べてて。
そんなに食べて体壊さないのか心配になってくる。
『……食べ過ぎかもな。手、黄色くなってきたし』
『もう食べないで!禁止!!』
『はぁー?止まんないんだもん。仕方ないじゃん』
『体可笑しくなっちゃうから!ダメ!』
また蜜柑を取ろうとする涙の手を掴んで止める。
『はいはい。波音がそこまで言うんならしばらく食べませんー』
不貞腐れる涙。
そんな姿が可愛くて、私は思わず頬が緩む。
『波音ちゃん、ニヤけてますよ?』
私を見てニヤって笑った涙が、私の頬を突く。
……どうして。
この場面を思い出してくれなかったの?
少しずつ思い出してくれているのに、もっともっと、私の事を、って思う私は。
欲張りなのかな……?