Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
「あぁ。波音が返してきたあのリングのお陰でね」
涙はニッコリ笑って私の涙を指で拭ってくれる。
「本当に……?」
「本当に」
「レイコさんは?」
「……思い出したから。俺が愛してる人。一生守りたいって人を」
涙は、私の左手を持つと、ポケットから取り出したあのリングを私の薬指にはめる。
「これ、返さないで。ずっと付けてて?……って言っても春にはこれから結婚指輪に変わるけど」
涙が手を重ねてきて、いつの間にか涙の薬指に付いているお揃いの指輪がぶつかり合う。
「もう、忘れないから。寂しい思い、させてごめんな?」
「すっごく寂しかった。涙が家に居なくて……私の事忘れちゃって」
でも、こうして思い出してくれた。
「もう絶対忘れないから」
イルミネーションを見上げて言う涙。
「忘れても良いよ?」
「え?」
ビックリした表情で私を見下ろす涙に、私は本当に久しぶりな心の底からの笑顔で涙を見つめ返す。
「何度でも、思い出させてあげるから!」
「……もう忘れないけどな」
そう言って私の頭を撫でる。