Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―




よし、と少し下がって花を眺めた本城さん。


花に向けていた笑顔が、今度は俺に向けられる。


だけど、それもすぐに消えてしまって。




「じゃあ、帰るね?」



ほんの僅かな、俺と本城さんの面会の終了を告げられる。




「……今度はいつ来る?」


咄嗟に、次を聞く。



「最近、良く聞くよね?
来る日知っとかないといけない事でもあるの?」




いたずらっ子のような目と、クスっと笑われて、恥ずかしくなりつつもそのまま本城さんを見た。




いいから、いつ来るの?



そう聞かないと、もうここには来てくれないような気がして。



もう会えないような気がするから。




おかしいな。


また、会いたいって思うんだ。




特別面白い会話をしてるわけでもない、


来てもらわないといけない用があるわけでもないのに。



ただ、本城さんと。



本城さんのいるこの部屋の雰囲気が好きなのかもしれない。




他の人が訪れた時とは違う、この雰囲気が。




「違う。明日は?休み?日曜だけど」






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