至近距離恋愛 -Hero-
「杏里……」


「ほんま何なんっ!?」


情けないような声に振り返ったあたしは、今度は雷に向かって叫んだ。


「え……?」


驚いている彼を余所に、そのまま大声で続ける。


「あたしの事振ったくせに、今更『好き』とか言う!?」


「ごめ……」


「しかも、言い逃げしたまま会いにも来(コ)ぉへんとか、何なんっ!?あたしっ……ずっと考えててんからっ……!」


何とかそこまで言い切ると、我慢していた涙が溢れ出して言葉に詰まった。


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