至近距離恋愛 -Hero-
「なぁ、杏里……」


雷はわざとらしく軽く咳払いをすると、まだ真っ赤な顔のままであたしを見つめた。


「……まだヒーローちゃうけど、いつか俺と結婚してくれる?」


そう訊いた彼の表情は、すごく真剣だった。


「ほんまにアホ過ぎるし……」


あたしは涙目で笑った後、雷にチュッとキスをした。


「なっ……!?」


その瞬間また更に顔を真っ赤にした雷は、見た事も無いくらい狼狽(ウロタ)えていて…


あたしは、そんな彼を見てクスッと笑った。


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