Winter bell
静かに立ち上がって、物音を立てないようにキッチンに向かった。


冷蔵庫を開けると、中はほとんど空っぽに近かった。


「男の一人暮らしなんて、こんなもんかな……」


晴稀はほとんどの事はきちんとしているけど、料理だけは適当。


「掃除も洗濯も完璧やのに……」


逆にあたしは、料理は好きだけど、掃除と洗濯が苦手。


全ての事が正反対のあたし達。


でも、あたしは晴稀が好き……


そんな事を考えると何だか可笑しくなって、クスッと笑った。


そして冷蔵庫から少ない材料を取り出して、キッチンに立った。


軽快な包丁の音やお湯の沸く音が、少しだけくすぐったい。


あたしは新婚気分を味わいながら、朝食を作った。


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