Winter bell
晴稀と再会したのは、本当に偶然だった――。


「松井……?」


いつも通りに定時に退社すると、人混みの中から自分を呼ぶ声に気付いて振り返った。


あたしを呼んだ声の主は、まだ暑さが残る季節なのにスーツをピシッと着熟し、笑顔で立っていた。


「え、誰……?」


一瞬、誰かわからなかった。


「うわ、忘れられてる……。高三の時に同じクラスやった、堀川晴稀やで」


苦笑しながら言われて、やっと晴稀の事を思い出した。


「えぇーっ!?」


「久しぶりやなぁ♪」


「あっ、うん……。何か雰囲気変わったんちゃう?」


笑顔で話し掛けて来る晴稀に、ドキドキしていた。


きっとこの瞬間、あたしは彼に恋をした。


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