Virgin Snow
苛立った廉さんは乱暴にタバコの火を消して、リビングから出ようとした。


「廉っ!!」


澪さんは慌てて廉さんを呼び止め、思い詰めたように口を開いた。


「怒らない……?」


「聞いてから決めるよ……」


「じゃあ……言えない……」


澪さんはまた俯いて、黙り込んでしまった。


「俺、出掛けるから!わかってると思うけど、しばらく帰らねぇからな!」


低い声で言った廉さんの腕を、澪さんが掴んだ。


「何だよ?」


「ごめんなさい……。ちゃんと言うから……。行かないで……」


そう言った澪さんの瞳には、涙が溢れていた。


「……わかった」


廉さんはソファーに腰掛け、隣に澪さんを座らせた。


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