Virgin Snow
黙り込む澪さんに、廉さんが苛立っているのがわかる。


さっきタバコの火を消したばかりなのに、廉さんはまた新しいタバコを吸い始めた。


そして、廉さんは煙を吐きながら澪さんに近付いた。


「澪、言わないと怒るぞ?」


「もう怒ってるじゃない……」


「澪っ!!」


廉さんが声を荒げ、澪さんはビクッと体を強張らせた。


「黙って出て行った上に携帯も繋がらないし、心配したんだぞ!ちゃんと理由を言え!」


唇を噛み締める澪さんを可哀相だと思う反面、廉さんが澪さんの事を本当に大切にしている事が伝わって来て、あたしは何だか胸の奥が苦しくなった。


だけど…


澪さんは、俯いたまま黙っているだけだった。


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