Virgin Snow
「さっきの話の答えは……?」


「あっ……」


「俺の事、嫌いになった?」


「嫌いじゃないよ!」


“好き”って言おうとしたけど、言えなかった。


あたしの意気地なし……


「そっか……」


「うん……」


「じゃあ、もう避けんなよ!」


「避けてたのはあたしじゃなくて、嵐でしょ?」


あたしは嬉しくて、つい憎まれ口を叩いた。


「俺じゃねぇよっ!!」


「嵐だってば!」


「あ〜っ、もうっ!!どっちでもイイから、これからはまた前みたいにしろよな!」


嵐はそう言うと、あたしをチラッと見た。


「うんっ♪」


あたしは満面の笑みで答えて、彼の背中にもたれ掛かった。


まだ暑さが残る、高校三年の夏の終わりの事だった――。


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