Virgin Snow
雪が降ってもおかしくないくらいの寒さの中、あたしは泣くのを我慢しながら家に帰った。


一目散に部屋に駆け込んで、エアコンのスイッチを入れてコートを床に脱ぎ捨てた。


嵐に電話してみようかな……


今電話したら、嵐は何て言うんだろう……


嘘……つくのかな……?


「嵐……」


あたしの瞳から、涙が溢れ出した。


名前を呼んだだけでも、こんなにも愛おしい嵐。


でも……


嵐は違ったの……?


麻美先輩の時みたいに、“そんなに好きじゃなかった”……?


ねぇ、嵐……


今すぐ会いたいよ……


あの人は誰……?


あたしは嵐の何……?


嵐はもう……


あたしの事なんか、好きじゃないの……?


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