Virgin Snow
「樹里……」


嵐の優しい声に引き付けられるように、ゆっくりと顔を上げた。


「お守り♪」


“合格祈願”と書かれた白いお守りを、嵐はあたしの手の平にそっと置いた。


そしてもう一つ同じ物を出すと、彼がいつもの笑顔で口を開いた。


「お揃い♪俺の分まで樹里にパワーあげるから!だから、無理なんて言うな!」


嵐はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめて、頭をポンポンと叩いた。


「うん……」


あたしは手の甲で涙を拭って、お守りをギュッと握り締めた。


「大丈夫♪俺らは絶対に合格するから!」


嵐の笑顔に安心感を覚えて気持ち悪さも無くなり、何とか笑顔を取り戻した。


そして、あたし達は同じ大学に合格した。


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