Virgin Snow
クリスマスまで、後1週間。


クリスマスカラーに彩られた街はキラキラと輝きを放ち、道行く人々の足取りはどこか浮かれているようにも見える。


たった一人…


あたし、羽山樹里(ハヤマジュリ)を除いては…。


「嘘……。嵐(ラン)……」


道路の向こう側にいる男の子を見て、あたしの全身から力が抜けていった。


そこにいるのは、間違いなく嵐。


彼の名前は、佐久間嵐(サクマラン)。


あたしの彼氏のハズだった。


たった、10秒前までは…。


今この10秒間に起こった出来事は、あたしの心をグサリと突き刺した――。


< 4 / 128 >

この作品をシェア

pagetop