Virgin Snow
「もしもし……?」


緊張で、声が震えてしまった。


あたしは受話口を手で塞いで、嵐にバレないように小さく深呼吸をした。


「俺だけど……」


「うん……」


久しぶりに聞く、嵐の声。


それは周りの雑音なんか耳に入らないくらい、あたしの心に優しく響いていた。


まだ何も話してないのに、何だか泣きそうだよ……


「今どこ?」


低めの嵐の声が深刻そうに聞こえるのは、あたしの心が弱いから……?


「いつものファミレス……」


小さく答えて、嵐の言葉を待ち続けた。


今続いてる沈黙は、何を意味してるの……?


気が付くと、携帯を持つ手が少しだけ震えていた。


< 46 / 128 >

この作品をシェア

pagetop