手を繋いで…
『オカン 珍しい人連れて帰ってきたで』

『美奈子チャン!元気しとったかぁ?』

『ご無沙汰してます』

大人っぽくなった うちを見て 母ちゃんは 察してたんや。

『まぁ ここ座り』

母ちゃんは うちの髪を切り始めた…

言葉もない…
ただ 母ちゃんの目だけは温かいもんがあった。


母ちゃんが 珈琲入れてくれて 真と三人で 飲んだ。

『美奈子チャン…会わんかった 1年でなんか 辛いことあったんやないか?』

見透かされてるようで
怖かった…

いうても仕方ないことやし 黙ってたほうがえぇ事もある

今さら いうてもしゃーないし…

『なんも あらへんで?何で?』

『綺麗なったしな 女っぽくなったなって思ってな…女はな 変わるときて 何かある時やでな…』

『アハハ〜 母ちゃん考えすぎや。うちかて 女の子やで?お洒落にも目覚めるっちゅうことやん』


美奈子は とびきりの嘘をついた。

前のままの美奈子を演じた。

『真が あないな事 せんかったら 美奈子チャン 傷つけることもなかったのに ホンマ うち 情けのぅてな…』

『母ちゃん もぅ えぇねん。なんも 母ちゃんが謝らんでえぇし…こないして また 会えたんやから…』

母ちゃんは 大人な事をいう うちに ちょっとビックリしてたっけ…
< 42 / 122 >

この作品をシェア

pagetop