君に捧ぐ‥
あたしも100m走で無事一位を取り、お昼休みになった。
「林檎っ、お昼食べよ〜♪」
「うんっ」
「雛、わりぃちょっとだけいいか?」
「……新。」
「雛、いってらっしゃい♪」
「……うん。」
林檎は、無理矢理笑顔を作りあたしを見送った。
「雛……100m走、春風に負けたけど…。借り物競走は、絶対に勝つから。」
「新、そのことなんだけどね…」
「……林檎がかわいそうだからとか言うなよ。」
「え?」
「林檎理由にしてフられたりしたら、諦められるわけねぇだろ!!それに…俺は林檎を嫌いになりたくない……」
新……
あたし、また知らないところであなたを傷つけてたの?
あたしはどこまで新を傷つければ気が済むんだろう。
「ごめんっ……傷つけて、ごめんっ」
俯いて泣くあたしを、新は優しく抱きしめてくれた。
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