君に捧ぐ‥



そう思ってしまうけれど、やっぱりこの気持ちに蓋なんかできなくて。


余計に、苦しくなる。




「えーっと、じゃあこの問題を、北条!」


「えっ!!俺かよ〜!?」


「よそ見ばっかしてるからだぞ〜?さあ、答えろ。」


「ちくしょー…」



新は、悔しそうにしながら問題に答えていた。




ドクン…


「あ……」




凪ちゃん、またあの顔してる。



きっと、元カノのことを考えてるんだ。




ズキン…ズキン…


「ふっ……ぅ…」



涙が出てきた。

止まらなくて、みんなに見られないように顔を伏せた。




アハハハハ…



クラスは、新の珍回答と凪ちゃんのツッコミに、笑ってる。


あたし一人が泣いていても、誰一人気づいてくれない。



ふいに、あたしはこの世界に一人になった気がして、怖くなった…。










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