心臓を食むさかな
chapter.1

溺れたさかな

私が目覚めるとベッドの上にいた。

いつもと変わらない朝…と思ったが何やら様子がおかしい。

ベッドには真っ白なシーツが敷いてあって、しかもそのベッドの周りを囲うようにカーテンが敷居られている。

窓辺には花まで置いてあって、ここはあきらかに

病院だ!


何故自分がここにいるのか…

頭をフル回転させる。

そうしている間に誰かがカーテンの隙間から顔をのぞかせた。

「起きた?」

私はうんと頷いた。

母さんは持っていたビニール袋からリンゴを取り出した。

「食べる?」

私はまたうんと頷く。

今日の母さんはどこかおかしい。

感情を押し殺しているような。

母さんは棚からナイフを取り出して、淡々とリンゴを切り始める。

二人とも黙ったままで何も言わない。

先に沈黙を破ったのは私だった。

「あのさ、いったい何があったの?」

この質問に母さんの手がふるえた。

「都綺…」
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