アリス図書館‡QUEEN






コツコツと靴音を響かせながら歩き出したアリスの後ろをイオンが無言でついていく。

途中本棚の前で本をアリスが選ぶ時は自分も傍らで本を読み、またアリスが歩きだせばイオンも歩きだす。

その繰り返しが数回続き、やがて足を止めると盛大に溜息を吐いてアリスはイオンへと振り返った。






「なにかしら?」






物凄くウザったそうに投げやりに問いかけてきたアリスに、イオンはにっこりと笑いかけた。






「最近、玄関前に薔薇の花束がおかれているのですが?」






言ってイオンはどこからともなく薔薇の花束を取り出した。


それを見て、アリスはイオンが言わんとしていることがわかった。





「相手にするだけ無駄よ。放っておけば、そのうちなくなるわ」






言いながらイオンから薔薇を奪い取ると指を鳴らし一瞬で燃やした。






「それとも何、私にこんな下等な者の相手をしろとでも?」



「まさか。私は一言もそのような事は申しておりません」



「じゃあ何なのさっきから」



「・・・愉しむのは良いですが、馬鹿な事はやめろよ?」



「・・・・・・」





混じった口調にアリスはピク、と眉を動かしたがすぐにふふ・・・と口元を手で隠しながら笑った。



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