初恋をもう一度。
再会

「行ってくる」


「はいはい、気をつけてね~。いってらっしゃい。あ、鍵閉めてあげるわよ」

母・由紀子は、息子を明るく送り出した。


普段、寝起き最悪の佐野恭平―さの きょうへい―は、今日は何故かとても目覚めの良い、すっきりとした朝を迎えた。


その上、予定よりもかなり早くに目が覚めた為、散歩でもして時間をつぶす事にした。


仰げば空は澄んでいて、春の訪れを歓迎しているかのように―。


空気はまだ暖かいとは言えないが、頬に陽がを受けるとほのかな熱を感じる、心地好い晴天下。


いつもと少し時間帯が違うだけで、まるで違う町のように見えてくる。
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