初恋をもう一度。

真相



冷たい空気を感じ、目が覚めると時計はちょうど6:30を回ったところだった。


寝起きでうつらうつらと5回程の呼吸を繰り返すと、はっと目が覚めた。


唯の登校時間はおそらく7時前後。

「やべっ」

恭平は急いで立ち上がろうとすると、テーブルの裏に膝を強く打った。

「いっっってっ!!!」

夕べ、低いテーブルで食事を摂ったあと、そのまま溶けるように眠ってしまったことを忘れていた。

恭平はこういった地味な負傷ほど、より惨めだと常々感じていた。

例えばサッカーの試合中に怪我をすれば、誰かしらが気に掛けてくれる。そう考えると自分は人から心配して欲しいだけなのか、と情けなさも同時に感じる。

特に今日は家族も起きているとは言え、誰もそんな彼に気付かないので尚のこと身に染みた。


立ち上がると右膝が思いの外痛んだ。

あまりにだらしない格好で唯の前には現れたくないので、急いで身だしなみを整えると朝食も摂らずに家を出た。
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