初恋をもう一度。

精神的にもだいぶ落ち着きを見せ、そろそろ部にも顔を出そうという気になった。


ここ数日、部活など頭には全くなかった為、今日も危うく帰るところだったが、教室から見えるグラウンドに目をやると、ふいに思い出したのだった。


既に一矢たちは準備運動など、各自で始めている。

空が澄んでいてほんの少しだけ冷たく、こういう日のサッカーは気持ちいいんだよな…。

そう思い、教室を後にした。


3年生の教室は3階にある。もちろん共用の階段をいつも通っているが、最近は全く人を見かけないなと思った。

朝は朝で意識がどこかへ飛んでいるし、恭平が帰り出すのはだいたい全ての生徒が帰った後か、部活に勤しむ最中だからだ。


1階の更衣室に着くと、1人の女子生徒と目が合った。


今月、4月に入ったばかりのマネージャー、河音涼子だった。
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