初恋をもう一度。

｢いいよ｣


俺のせいなんだから―

その言葉が重くのしかかる。


｢唯…記憶は戻るのか??｣

｢…わからないけど…、でも戻ることもあるって聞いた｣

｢そうか…｣

｢私、なんだか恭平くんといるとね、懐かしい気持ちになる｣

｢懐かしい気持ち??｣

｢うん、何か…思い出せそうな…感じがするよ｣


トクン、と恭平の心臓が一瞬、リズムを狂わせた。

｢…そ…か。…うん、記憶、戻るといいな｣


嘘をついた。

本当は思い出してなんか欲しくなかった。思い出して、また唯がつらい思いをするのは嫌だ。

しかし、自分との過去が消されたままになるのも寂しい。

自分勝手と知っていても、願いはただただ純粋だった。


その時、注文した料理が運ばれてきた。