紫陽花なアイツ

やっぱり…。

ここまで来て、あたしは落胆。

雨が降り始めた。

でも小雨だし、走ればバス停までは行けるかも。

「帰んのかよ。」

急に、誰かが横から声を出した。

あたしじゃないよね?

と少し横を向くと、背の高い男子。

「なっ…。」

葉介がいた。

「雨、降ってるけど。」

あたしの動揺に気付かないのか、無視してるのか。

「帰るよ。」

平然と答えた。

「俺も帰ろっと。」

壁に寄っ掛かっていた体を起こして、葉介は言った。

…いやいや。

君がいるから、あたしは帰るんだよ?

「傘持ってないんだろ?」

葉介は傘立てから黒いどこかのスポーツメーカーのロゴ入りの傘をだす。

「自分の?」

あたしは聞いてみる。

「他人様の物盗むまで、俺汚れてねーから。」

呆れ顔で言われた。

ほら、行くぞ。と腕を引っ張られて、外に出た。




< 17 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop