レンズ越しの君へ
だけど…


一晩経った今、あたしは寂しさを感じていた。


自分から家を飛び出したのに、廉が追い掛けて来てくれなかった事がやけに辛く感じた。


廉とはもう一緒にいられないと思っているのに、彼と一緒にいたい。


時間が経てば経つ程、気持ちが矛盾していく。


それは、次第に後悔へと変わっていった。


昨日から何度も携帯を確認しているのに、廉からの連絡は一度も無い。


きっと廉は怒ってるんだ……


ううん……


もしかしたら、もう呆れちゃったのかもしれないね……


そう考えれば、追い掛けて来なかった事も、まだ連絡して来ない事も、納得が出来る。


あたし、バカみたい……


いつの間にか頬を伝っていた涙を拭って、綾のベッドに潜った。


眠ってしまえば、もう何も考えなくて済むと思ったから…。


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