レンズ越しの君へ
「あたし……弟がいるの……」


「はっ!?弟……?」


目を見開いて驚く廉に、そのまま話を続ける。


「今は高校生なんだけど、弟にはたまに連絡してるの……」


「弟がいるなんて言ってなかっただろ?」


「うん……。ごめんね……」


眉をしかめた廉に、小さな声で謝った。


「まぁイイけど……。で、どうするんだ?」


「弟と連絡取って、相談してみるね。だから……もうちょっとだけ待って……」


あたしはそう言って、ニコッと笑った。


「……わかったよ」


納得した廉は、あたしにも後で入るように告げてからバスルームに向かった。


あたしは笑顔で返事をして、彼がお風呂に入ったのを確認してから弟に電話を掛けた。


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