レンズ越しの君へ
両親と和解出来た日から、頻繁に実家に行くようになった。


そうは言っても、あたしが優先したいのは廉との時間。


だから、実家に行くのは休みの日の数時間だけ。


それでも、あたしは今までの溝を埋めるかのように、何度も実家に足を運んだ。


そして…


廉との結婚の準備も、少しずつ始めた。


最初、あたしは結婚式を挙げるつもりは無かった。


式を挙げるにしても、簡単な式か、身内だけの式だと思っていたのに…。


「無理!」


「どうして?あたしは簡単な式がイイのに……」


「澪のドレス姿を見せびらかしたいから」


結局、廉の有無を言わせないようなその一言で、結婚式を挙げる事になってしまったんだ。


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