同じ空の下で
「あの時、ずっと柚奈の事が分からなくなって泣いてたんだ。」



知ってる。


次の日、学校で美貴の顔を見たときに、美貴の目がすごく腫れていたのを覚えてるから。


ゴメンね。



「柚奈からの電話が来て、正直、何言われるんだろう。絶交とか言われたらどうしようとか色々考えたんだ。」



…美貴。



「でも、柚奈からの大胆発言を聞いて、あ、柚奈は怒ってない、私の大好きな柚奈だって思った。」



「私も。美貴はまるで自分の事のように喜んでくれて、こんな事があっても美貴とはずっといられるって思ったんだ。」



「…柚奈。
そういえばさ、もし柚奈が先生の事好きにならなかったら、私達は今こんな風に一緒にいられなかったかもだね?」



あ。

そういえば、そうかも。



先生がもし、あの時私の背中を押してくれなかったら。


先生ともし、相合傘をしなかったら。




「私、思うんだけどね?きっと、あの時の夢を柚奈に見せてくれたのは先生だと思うんだ。」



先生が?



「先生は、今の柚奈を見て笑って欲しいって思ったんじゃないかな?」



え?



「先生は柚奈の笑顔が好きだっていつも言ってたじゃん。あの時の事だって乗り越えられたんだから、今度だって大丈夫って。」





先生。




先生。




先生。




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