同じ空の下で

―ザワザワ


今日の授業も全部終わって、生徒達が帰り始めていた。



私も帰るか…。



「ねぇっ、柚奈っ。」



里奈が後ろから声をかけてきた。



「何?どうしたの?」



「今から暇?どっか行かない?他にクラスの子も行くしっ!」



「……うーん。ゴメン、私早く帰って家の用事しなきゃ。」



お兄ちゃんにお世話になってるんだか、それぐらいしないと…。



「そっかぁ。お兄さんと二人だもんね…。じゃあ、仕方ないね。また、行ける日あったら行ってねっ!」



「うん。ゴメンね。」



「いいよっ!じゃあ、私もう行くねっ!また明日っ。バイバイっ!」



「バイバイ。」



里奈は笑って他の子の所に行って、帰っていった。






正直、家の用事のために帰りたい訳じゃなかった。



この、慣れない場所と環境から離れたかっただけ。





一人になりたかっただけ。





でも、もし誘ってくれたのが里奈じゃなかったら。





美貴だったら。



私は行ってたと思う。





会いたいな……。



元気かな…?

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