※ご主人様は完璧王子?※
エレベーターに一人で乗り、久しぶりに見慣れた数字のボタンを押す。
たったそれだけなのになぜか心が踊る。
鼓動がどんどんどんどんはやくなる。
あたしは一回深呼吸をしてできるだけ鼓動をおさえた。
しばらくするとチーンと渇いた音がしてドアが開いた。
普通に降りようとしたときエレベーターにのりこもうとしている人と正面からぶつかった。
柑橘類の香りを漂わせたその人はすいません、と小さな声で謝るとすぐにエレベーターに乗って扉を閉めてしまった。
………あれ、おかしくない……?
この階にはあたしと龍ヶ峰の部屋しかないのに、なんのようがあったんだろう………。
間違えただけなのかな?
ちょっと疑問を持ったが特によく考えることもなく部屋に入る。
ふわっといつも龍ヶ峰がつけている爽やかな香りの香水が鼻をくすぐった。
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