※ご主人様は完璧王子?※




誰かが仕込んだ……?


その言葉が引き金になったかのように、今まであたしの頭にざっくばらんにばらまかれていたピースがカチカチと一つずつはまっていって一つの真実をあたしに見せた。




エレベーターで会った不思議な人

柑橘系の香り

ディーラーからした香水の匂い…………



無闇に人を疑いたくはない……
でも、それ以上にあたしは龍ヶ峰を疑いたくないという気持ちの方が大きかった。



だからまだ確証はもてない自分の推理をおのずと語り初めていたんだ。




「龍ヶ峰……。
今から話すのはあたしのただの推理だから聞き流してもいいからね。」



そう前置きするとあたしは一気にしゃべり切った。

あたしたちの部屋しかないこの階で会った男の人がひどく焦ってエレベーターで帰ったこと。
その人から柑橘系の香りがしたこと。
そして、あのディーラーから似たような香りがしたこと………



しゃべり終わっておそるおそる龍ヶ峰を見るとどこか悔しそうな、でも淋しそうな、悲しそうな顔をしていた。



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