ひとひらの願い―幕末動乱―
第1章 一縷の望み
11月11日 11時11分11秒


この時、願い事をすると叶うらしい。
私は半信半疑で、友達と話していた。


「ねぇ。本当に叶うのかなぁ…織は何願うの?」

「え? …秘密。そういう麗奈は?」

「私も秘密!」


その友達の名前は、紅紫 麗奈(あかし れな)。

今は11時10分。
もちろん、授業中なわけだけど……

しかも大嫌いな理科の授業中。
何でよりによって理科なのかな…!

誰にもぶつけられない言葉を、心の奥で呟く。


私はこの学校-…
壬徳(じんとく)中学校と言って、歴史のある学校に通っている。

歴史と伝統を売りにしている、私立の学校。

私は大の歴史好きで、小学生の時からの付き合い。

別に私立に行こうと思っていたわけではないけれど、気づけばこの学校に受験していた。


頭の良さは、人並み。

でも、歴史に関しては……特にある時代に関しては、人並み以上の知識を持っていると思う。

私は2年の、高蔵 織(たかくら しき)。



私はこの時、迷っていたんだ。

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