『Memory's Messiah』(ダークファンタジー)
第19章『ハッカーと将棋』
新道の笑い声が部屋中に響き渡る中で、横たわるリン。


そして、リンの自殺に間に合わなかった雪華。


雪華は横たわるリンの頭を抱え、リンを抱き起こし、リンの名前を呼ぶ。

雪華『リン』


しかし、その抱き起こしたリンの頭からは“血”が一滴も流れていない事に気付く雪華。


雪華『へ…』


雪華はリンの胸に耳を当て、心音を確認し、更にリンの手首に自分の指を当て、リンの脈を計る雪華。


雪華(え…こ、これってどう言う事…)


雪華の不可解な行動を見ていた新道。


新道『ん』


その雪華の不可解な行動の他に、今度は不可解な音が新道の耳に届いた。


不可解な音『パシュッ…』

新道『ん』


その音の直後に、新道の目の前で、今度は雪華が倒れだす。


雪華の倒れる音『バタン…』


そして、雪華とは逆の方向から、聞こえて来た“茂”の声。


茂『ふ〜っ…』(これで“ツミ”…だな…)


そして、その不可解な出来事を目の当たりにした新道は、反射的に茂の方を見た。


その新道が見た茂の“手”には“銃らしき物”が握られ、その銃口は雪華達の方へ向けられていた。


茂を見た新道は驚きの表情を見せながら茂に聞いた。

新道『き、貴様は一体“何”をした』


茂『えこれの事か?』


茂は手を新道の方に突き出し、自分が持って居る“銃らしき物”を新道に見せながら、語り始めた。


茂『これはなぁ、俺が日頃から“御信用”で持ってる“麻酔銃”だ。…悪いけど、あの二人には少しの間、寝てて貰う事にしたんだ。 二人共、今パニクってて俺の計画の邪魔だからな。』


新道『計画…“麻酔銃”だと…一体何の事だ?』

茂は続けて新道に語り始めた。
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