『Memory's Messiah』(ダークファンタジー)
移動中の車内。


茂は一人で車の後部座席に乗り、車を運転する父と助手席の母は一言も喋らず、車は進む。


痺れを切らし、茂が両親に質問をする。


茂[少年]『ねぇ、いい加減“行き先”ぐらい教えてよ…』


茂の父『…』


茂の母『…』


茂の母が迷いながら、父に聞いた。


茂の母『“行き先”ですって貴方、どうします?茂に教えます?…』


茂の父『良いんじゃ無いか?教えても。』


茂の父『どうせ、逃げれ無いんだから…』


その父の言葉を聴き、恐怖を感じた茂。


茂[少年](逃げれ無い…)

後部座席に座る茂の恐怖と驚きの顔をミラーで見た父が茂に話し出した。


茂の父『茂?そんなに怯え無くても良いんだぞ?(笑)』


茂の父『“あの方”が、お前を選んで下さったんだからなぁ、むしろ、お父さんとお母さんは、お前の事を誇りに思ってるぞ』


その父の言葉に便乗する母。


茂の母『そうよ〜、私達家族、今まで色々と苦労して来たし、貴方にも嫌な思いを沢山させて来ちゃったけど…今回、この知らせを聞いた時は母さん嬉しかったわ〜』


茂の母『今までの苦労は“無駄じゃ無かった”って』


茂の父『本当はあの方が直接茂に言うまでは、黙ってて、茂を“驚かそう”って思ったから言わなかったけど、本当の事を言うな』

茂[少年]『?…』


茂の父『茂?お前はなぁ、世界でたった一人、“あの方”に選ばれたこの世界の“Messiahなんだぞ』


茂[少年](Messiah?…)


茂[少年](何の事だ?…それに、“あの方”って誰だ?)


茂の父『あれ?浮かない顔だなぁ…嬉しく無いのか?お前は選ばれたこの世界の“救世主”なんだぞ』


茂が父に質問をした。


茂『ねぇ、その俺が救世主ってどう言う事?』


茂[少年]『それに、その俺を選んでくれた“あの方”って誰?…この車は何処に向かってるの?…』


茂の父『はぁ?』


茂の父『茂、お前寝ぼけてるのか?…それともパソコンのやり過ぎで頭が可笑しく成ったか?』


茂[少年](?…)
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